一九九一年 | 茶坊前身翁山英故居

一九九一年 | 茶坊前身翁山英故居

物語の背景

目にしたもの全てが心に, 焼きついた九份

1979年、洪志勝と九份は出会った。彼は油絵の先生と共に写生をしに山を登って来たのだった。やっとのことで九份に辿り着いた。息を切らせ、のぼせた頭にいきなり飛び込んで来た九份の景色に彼は一目惚れをしてしまったのだった。たくさんの家並みがとても美しかった。しかし人がいない、一体どこに行ったのだろうか?その時はまだ昔ここが黄金の故郷だったとは知る由もなかった。

 

1991年 | 洪志勝と九份茶坊

 

茶坊內部を片付ける様子

九份第一号,築百年の古屋敷の茶坊

その後、彼は一旦仕事に就き、9年後に再び九份を訪れた。そのときの九份は更に寂しく粛然としていた。街はひっそりと静まりかえっていて、まるで雲間に浮かぶ天空の城のように哀愁にも似たノスタルジックな雰囲気が漂っていた。夕陽が沈み、街灯が灯り、ぼんやりとした明かりに包まれた九份は更に美しかった。そのとき彼はここに住むことを決めたのだった。

歴史は偶然の連なり, 文化は生活の集大成

1979年に油絵の先生とともに九份に来たのがきっかけとなったのか、縁あって九份老街のはずれの古い屋敷が当時若い画家であった洪志勝の持ち物となった。その古い屋敷は現在では文化庁が文化財として登録した歴史的建造物となっている。いつ頃建てられたものなのか詳しいことはわかっていないのだが、九份で最も古い建築物であるらしい。ここは以前、地元の名士であった翁山英の家屋であり、その後、九份金鉱に携わる坑長の統率本部があったところだとも言われている。また後に、水池仙診療所と姿を変え、現在の九份茶房に至る。歴史は正に偶然のつらなり。歴史を重ねさらにまた続いてゆくのだ。

 

茶坊屋上から基隆山を望む

 

茶坊の修改築の様子

 

遠くに基隆港を望む

「茶陶画」を主軸とした経営理念

時代の先駆者である九份茶坊オーナー洪志勝は、この百年もの歴史ある古屋敷「翁山英故居」の保存と活用を念頭に修改築し、文化が息付くアート空間を生み出した。ここは正式に新北市六番目の歴史建築として登録されている。「茶、陶、画」を主軸とした経営理念は、国の経済部により2005年に創意生活事業のモデルとして選ばれている。九份に訪れたなら、ここは見ておきたいところだ。

九份芸術館
ギャラリー|工芸品|絵画


 

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